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日別アーカイブ: 2025年4月14日

第11回土木工事雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社第二赤松建設、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~設計~

ということで、道路舗装工事における設計の基本から応用、そして設計時に特に注意すべきポイントまでを、現場目線で深く掘り下げて解説します!

「舗装」と聞くと、ただアスファルトを敷くイメージを持たれることも多いですが、実は“舗装の品質は設計段階で9割決まる”といっても過言ではありません。

舗装設計とは、単なる厚みの設定ではなく、

  • 地盤状況

  • 交通条件

  • 排水能力

  • 材料選定

  • 維持管理性

  • 周辺環境や景観との調和

などを総合的に判断して設計する極めて重要な工程です。


そもそも「舗装設計」とは何か?


舗装設計とは、交通荷重・地盤支持力・環境条件などをもとに、最適な舗装構造とその厚さ、材料、施工仕様を決定する設計行為です。

一般的な舗装の構造は以下のように構成されます

設計はこの構成に対して、以下の条件を加味して行われます

  • 設計交通量(大型車の通行量)

  • 地盤支持力(CBR値など)

  • 地形・勾配・排水条件

  • 使用材料の種類と供給可能性

  • 維持管理・施工コスト

📌 つまり舗装設計とは、地盤と交通の“バランスを取る工学”なのです。


舗装設計の基本プロセス


✅ ① 現地調査と地盤調査(支持力の把握)

  • 路床土質の調査(CBR値、液性限界、含水比など)

  • 地盤の排水性、凍結深度の確認(寒冷地は特に重要)

  • 地盤改良が必要な場合は改良方法も検討

🧱 地盤の弱さを無視した設計は、沈下・ひび割れ・早期破損を引き起こします。


✅ ② 設計交通量(N値)の算出

  • 年間平均交通量(大型車換算)×設計年数で累積交通量(N値)を算出

  • 設計交通量に応じて舗装の構造グレードを選定(軽交通/中交通/重交通)

🚛 「N=1×10⁶」などの単位で表現され、Nが大きいほど構造が強固になります。


✅ ③ 舗装構成の選定と各層の厚さ設定

例:アスファルト舗装(中交通対応)

材料 厚さ(例)
表層 密粒度アスコン(13mm) 5cm
基層 密粒度アスコン(20mm) 6cm
上層路盤 再生クラッシャーラン 15cm
下層路盤 粒度調整砕石 20cm

※路床CBR値に応じて増減あり

🛠️ 構造設計は「交通量×地盤強度×コスト×維持性」のトレードオフの最適化作業です。


✅ ④ 排水設計と縦断・横断勾配の検討

  • 表層の横断勾配(通常2%前後)による排水計画

  • 排水側溝の設置、側溝勾配、集水桝配置などを検討

  • アスファルトの透水性 or 非透水性の選定

🌧️ 排水性を考慮しない舗装は、水たまり・凍結・劣化・事故の原因になります。


✅ ⑤ 環境条件と使用材料の選定

  • 寒冷地では凍上抑制層(断熱材や透水層)を設計

  • 交差点や勾配部では滑り止め舗装(開粒度アスファルトなど)を検討

  • 騒音やヒートアイランド対策として遮熱性・多孔質舗装も導入

🌱 近年では、環境性能を高めたグリーンインフラ舗装も注目されています。


舗装設計で注意すべき5つの重要ポイント


⚠️ ① 地盤条件に応じた構造補強の検討

  • CBR値が5%未満の場合は地盤改良 or 構造強化が必須

  • 軟弱地盤ではジオテキスタイル(補強材)の導入も有効

✅ 設計時に「地盤をどう補うか」を検討しないと、舗装がすぐ壊れます。


⚠️ ② 設計N値に基づく「現実的な構造」設定

  • 設計交通量が過小評価されると早期のわだち掘れ(轍状のへこみ)が発生

  • 逆に過大評価すると過剰設計によるコスト増

✅ 設計N値と実際の車両通行量を交通量調査や自治体データで裏付けましょう。


⚠️ ③ 維持管理性・補修性への配慮

  • トンネルや交差点などは打換えやすい構造が望ましい

  • 駐車場や歩道は表層交換だけで済む構成が管理しやすい

✅ 「10年後、どう維持するか?」を想定して設計しましょう。


⚠️ ④ 発注者の意図・景観との整合

  • 市街地や観光地では透水性平板・自然石舗装など景観配慮が必要

  • 公共案件では「標準設計」に準拠する必要も

✅ 見た目と性能のバランスがとれた設計が求められます。


⚠️ ⑤ 現場条件に応じた施工性の検討

  • 舗装機械の進入経路、材料搬入ルートの検討

  • 夜間工事・交通規制なども含めた施工条件に即した設計

✅ 図面の上だけで成り立つ設計では、現場で施工トラブルの原因になります。


これからの舗装設計に求められる新たな視点


◆ AIとBIM/CIMの活用

  • 土量計算・舗装厚の自動設計

  • 交通シミュレーションによる舗装損傷予測

  • 3Dモデルでの施工計画・干渉確認

💡 “設計から維持まで”を見通した情報管理設計が標準になりつつあります。


◆ 環境負荷低減型舗装の設計

  • 再生アスファルトの活用(RAP)

  • 遮熱アスファルト・カラー舗装でヒートアイランド対策

  • 透水性舗装で雨水の地中浸透促進

🌍 舗装も“地球と共生する構造”が当たり前の時代へ進んでいます。


良い舗装は「未来を見据えた設計」から始まる


道路舗装は、街をつなぎ、人と物流を支える最も身近で最も大切なインフラの一つです。

そしてその品質と耐久性は、設計の段階でほとんど決まってしまいます。

✅ 地盤を正しく読み、
✅ 交通条件に合わせて構造を決め、
✅ 排水・環境・維持までを設計に織り込む

このすべてが揃ってこそ、“壊れにくく、維持しやすく、安全で美しい舗装”が完成するのです。

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